こんにちは。

ちょっと遅くなりましたが、先月末にYoutubeで配信させていただいた『技術万能思想に潜む人種差別の暗い影』のブログ版をお届けします。

Youtube版はこちら↓

今回の内容は以下の4点にまとめることができると思います。

北米大陸の東海岸(大西洋岸)に細々としがみつくように形成された英領十三植民地、現在のアメリカ合衆国の母体が、世界初の完全監視社会だったこと、 社会制度としてそこで暮らす人間たちにとって住みやすい場所だったかはともかく、経済効率は非常に良かったこと、 この経済効率の良さのしわ寄せはほぼ全面的に絶滅に近いかたちで片隅に追いやられた先住民(アメリカン・インディアン)と黒人奴隷に集中していたこと、 同じアングロサクソン系イギリス人が開拓した植民地の中でも、アメリカほど経済的に成功しなかった国々に、能力主義と結びついた人種差別思想が蔓延したこと。

それでは、まず世界史の中でいろいろな時代にさまざまな国々で奴隷制は存在していたという事実から、確認していきましょう。

Imagesbybarbara/iStock

古代から近現代まで、奴隷制は存在していた

次の4枚の絵をご覧ください。

かなりのちの時代になってから描かれた想像図や、様式美と言えるほど類型化された土器のレリーフも含まれていますが、大西洋奴隷貿易が盛んだった頃の実写映像に近い写実的な画風の同時代人が記録した絵もあります。

たしかに、古今東西いろいろな場所で奴隷は存在していました。そして、その事実を根拠に「奴隷制が存在していたのはアメリカだけはない。もっと残酷な奴隷制度もあった」といった議論も見かけます。

ですが、私は生まれ育った土地との風土や言葉の違い、そして奴隷にされた人々の身体的特徴が遠目でもはっきりわかるほど奴隷主階級である白人たちと違っていたという点で、北米大陸からカリブ海諸国でおこなわれていた奴隷制ほど効率的に強制労働をさせていた社会制度はなかったと思います。