というのも、黒人奴隷制や黒人に対する人種差別が公然と法律によって守られていたアメリカのように、多くの抵抗を乗り越えて公民権運動によって黒人たちが少なくとも法律上の平等を戦い取ったという伝統がないので、びっくりするような人種差別的言動をアメリカより頻繁に見かけるからです。

次の4枚の写真をご覧ください。

生物学的には人類は1類1種であることが確認済みです。つまり世界中のどこの民族や人種同士の組み合わせでも男女が交われば子どもは生まれるという意味で、人種とか民族と言っても、種として独立したカテゴリーではないということです。

ところが、カナダにはアメリカよりはるかに多く、上のような写真をXなどに投稿して「だから、1類1種とは言っても白人は有色人種より優秀なんだ」と主張する人たちを見かけるのです。

トランプ政権が2度にわたって成立してからというもの、アメリカでもかなり人種差別的言辞に対するタブー意識は薄れている気はします。ですが、さすがにアメリカでこの手の投稿をして身元がばれたら、やはり地位や名誉を失いそうな言動がカナダでは平然と許されている気がします。

そもそも、カナダという国はアイスホッケーが国民的スポーツとして盛んで、フランス系住民の多いケベック州を中心にフランス文化の伝統が残っているということ以外では、ほとんど独自性のない国です。

政治・経済・社会あらゆる場面でアメリカにぴったり吸い付いて動くコバンザメ的な国で、だからこそ「アメリカの51番目の州になったほうが国民にとっても得だろ」とトランプに揶揄されるような国なのです。

そのカナダには、アメリカのような気候風土で黒人を使役して急速な経済成長を遂げるチャンスがなかったことに対する憤懣を、アメリカ白人に向けずに自分たちを経済的に押し上げてくれなかった世界中の有色人種に向けているという印象があります。

大英帝国内のカナダ連邦で初代と3代目の首相となったジョン・マクドナルド卿も、大不況さ中の1933年にニューヨークで創設されたテクノクラシー党のカナダ支部を率いていたジョシュア・ハルデマンも、そういう傾向の顕著な人たちです。