真の狙い「Ibotta Performance Network(IPN)」の誕生
2020年、同社は「Ibotta Performance Network(IPN)」という、真に狙っていたビジネスを本格的に始動させた。消費財ブランドが、パブリッシャーを通じて消費者にデジタルプロモーションを配信することを可能にするプラットフォームだ。
例えば、レゴやネスレといった消費財ブランドが、WalmartやDollar General(ディスカウントストア)などのECサイト/アプリなどのパブリッシャー上でプロモーションを付与できるというもの。要するに、Ibottaアプリ上ではなく、第三者の媒体上でブランド側が特典オファーを出すことができる仕組みである。
これは単なる新機能の追加ではなく、事業モデルをB2CからB2B2Cへとピボットすることを意味する。その仕組みは「Rewards as a Service(RaaS)」とも表現される。

Walmartなどパブリッシャーにとっての価値はなんといっても、何百何千ものブランドとの交渉をすることなく、彼らが提供している最新のデジタルプロモーションの情報を取得し、それを消費者に提供できることだ。技術開発も営業組織も必要ない。
ネスレやコカ・コーラなど消費財ブランドにとっては、一度IPN上でキャンペーンを組成するだけでWalmartやDollar Generalを含むリテール大手の持つ膨大な消費者リーチを獲得することができるのが魅力だ。各リテーラーとの個別交渉を完全に不要にし、ワンストップでプロモーションを管理できる。
重要な差別化要因は「成果報酬型(Pay-Per-Sale)」モデルである。従来の広告がインプレッション(CPM)やクリック(CPC)に対して課金されて売上を保証しないのに対し、Ibottaのモデルではクライアントは「プロモーションが実際の売上につながった場合にのみ」料金を支払う 。これによりブランドはリスクを大幅に低減し、測定可能な広告費用対効果(ROAS)を得ることができる。平均ROASは7倍にも達するという。