
●この記事のポイント ・米キャッシュバックアプリ「Ibotta(アイボッタ)」は、レシートを起点に誕生し、利用者5000万人を超える急成長企業へと進化。消費者向けD2Cモデルから、WalmartやInstacartなど大手リテーラーと連携するB2B2C型プラットフォーム「Ibotta Performance Network(IPN)」へと事業を巧みに転換。 ・売上は前年比15%増の3.7億ドル、純利益は80%増と急伸。紙からデジタルへの移行という業界潮流を追い風に、広告の新たな形を切り拓いている。
「I-bought-a(私が買った)」という日常の瞬間に、私はビジネスの宝の山を見つけましたーー。
Ibottaの創業者兼CEOであるブライアン・リーチ氏は、とある出張帰りの飛行機で見た みた、経費精算のためにレシートの写真を撮る同乗者の姿から着想を得て、創業から10余年ほどでニューヨーク証券取引所に上場する企業をつくりあげた。
同社はいわゆる「キャッシュバックアプリ」を提供しており、消費者は商品を購入すれば一定の現金還元オファーを受けることができる。ときには全額キャッシュバック対象で実質無料となる商品もあり、日々の支出を抑えたいユーザーから熱烈な支持を受けているサービスだ。
2024年度通期決算では売上高3.7億ドルと前年から15%の増収となり、純利益では同80%増の6874万ドルへと成長。利用者数は累計5000万人規模にも上る。
一見すると「消費者向けのお得な割引アプリ」にみえる同社だが、実は足元の成長の裏側にはB2Bモデルへの巧みな事業転換がある。大手小売りのWalmartや食料品配達のInstacart、フードデリバリーのDoorDashなど、米国の巨大なリテールプレーヤーを取り込む同社の事業モデルについて、本記事では紹介していく。