3ヶ月の間にトランプ政権が減税法案「One, Big, Beautiful Bill, OBBB」を成立させたこともあって、米国の財政はより関税歳入に依存することになるため、「第二、第三解放の日」以降に関税を再び引き下げらのは困難である。

今年1〜6月では872億ドルの関税が実際に徴収された。CBOの試算ではOBBB法案は今後10年間で3兆ドルの財政赤字増に繋がる。またCBOは関税収入は総額2.8兆ドルの歳入をもたらすと試算する。OBBB法案の財政拡張と関税収入は互いにほぼ打ち消し合うわけである。

要約
「第二関税の日」8/1前の書簡は厳しい関税率の復活を示唆していた 日米通商合意はサプライズであり、特に232条関税の国別引下げは画期的 関税引下げを「買った」80兆円はJBICの途上国向け開発援助と同じもの 「80兆円」の大半は融資と信用補完であり、毀損リスクは大きくない 出資分(1兆円強か)の利益の9割は米国内に留保されJBICに配当されない そもそもこれらの案件で利益が上振れるとはあまり思えない 回避した関税インパクトは自動車関連だけでも年間1兆円以上 日米通商合意が新たなテンプレートとなり、EUへの相互関税も15%目線に ディールに到達すれば新興国は20%、迂回輸出40%、中国も40%以上 書簡で一度高まった「第二関税の日」の破局リスクは低下 関税収入はOBBB法案の減税幅をオフセットし、長期にわたり継続へ

編集部より:この記事は、個人投資家Shen氏のブログ「炭鉱のカナリア、炭鉱の龍」2025年7月27日の記事を転載させていただきました。