この4種類の成分は重力がある状態では密度によって「油のほうが水より上」というように層状に分布します。

次に研究者たちはこの混合液に対してレーザーを照射し、光放射圧を加えて混合液を攪拌しました。
光放射圧とは光が物体に衝突することで発生する圧力です。
光には質量はありませんが運動量は持っているため、レーザーなどの強い光が物体に当たると微小な力を加えることができます。
この力は小さいものの、集中したレーザー光では無視できない効果を持ちます。
そのため宇宙開発などでは地球からレーザーを発することで光学帆船を加速させるプロジェクトも検討されています。
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実験ではこの仕組みを利用し、混合液をレーザーで攪拌することで比重による層が破壊され、無重力と同じ状況が作られました。
そしてこの状態でオズワルト熟成がどう進行するかが調べられました。
すると、レーザーを当てて無重力環境を真似た場合、オズワルト熟成の進行が違った様子を見せることが判明しました。
この結果から無重力環境では、氷結晶の成長に重大な影響を与えるオズワルト熟成が、地球上と異なる進行を示すことがわかりました。
つまり宇宙で作った「宇宙アイス」と地球で作った「地球アイス」は同じレシピでも、舌触りが微妙に異なる可能性があるということです。