つまりアイスがジャリジャリするようになるわけです。
このプロセスは、大きな粒子の方が小さな粒子よりもエネルギー的に有利であるために発生します。
これは、粒子の表面にある分子が内部にある分子よりもエネルギー的に不安定であるという理由です。
といっても難しい話ではありません。

例えば、上の図のように、内部の原子は常に周りの原子と結びついているため、とても安定しています。
しかし、表面にある原子は内部の原子としか結びついていないため、安定性が低くなります。
この不安定性は小さな粒子ほど大きな影響をとなります。
小さな粒子は大きな粒子に比べて相対的に大きな表面エネルギーを持っており、表面エネルギーが高いほど粒子は不安定だからです。
そのためアイスクリームが輸送と保管を繰り返す中で温度変化が起きると、エネルギー的に不利な小さな粒子は少なくなり、代わりに大きな粒子が増えていきます。

上の動画では小さな粒子が消滅して、大きな粒子が育っていく様子を示しています。
アイスクリームの製造において、粒子の荒さは触感に重大な影響を与えます。
例えば、近年の研究によると「アイスクリーム中の氷結晶の径が30μm以下だと非常に滑らかな食感となり、35~55μmだと滑らかな食感、55μm以上だとザラザラとした粗い食感になる」と報告されています。