また、性同一性障害者特例法の生殖不能要件違憲判決でも、性同一性障害者がその性自認に従った法令上の性別の取扱いを受けることは、個人の人格的存在と結び付いた重要な法的利益であるとしていますが、判示上、単なるトランスジェンダーに関する言及ではないのは論を待ちません。

名古屋地裁の結論部分は是認するとしても、記事にある部分は、おかしいと言わざるを得ません。

ところで、東海地方版のNHKの記事では、この部分の表現が異なっています。

トランスジェンダー市議に「おっさん」賠償命じる 名古屋地裁|NHK 東海のニュース 06月25日 17時17分

25日の判決で、名古屋地方裁判所の大竹敬人裁判長は、「女性である小嶋市議を中高年の男性のようだと指摘する発言で、聞いた人がトランスジェンダー当事者の市議をからかうものだと受けとめる発言だった」と指摘しました。

このような理路であれば理解はできます。

最初のNHKの記事のかっこ書き部分は、書きぶりが判決書の原文そのままの引用とは思えず(判決文で「名誉感情を損なうものだ。」などという表現にはならない。)、判決読み上げに付随する法廷内での発言(及びその発言を整理したNHKによる記述)のように見えますが、どうなんでしょうか?

小嶋小百合市議「トランスジェンダーだから特別配慮してほしいのではない」

小嶋小百合市議は本件に関して春日井市議会で発言し、「トランスジェンダーだから特別配慮してほしいのではない」とも主張していました。

春日井市  令和 6年  3月 定例会(第1回)  03月11日-05号

◆2番(小嶋小百合君)~省略~

次に,大項目2,既に新聞報道されていますので,今さら説明するまでもありませんが,本年1月19日,議会報編集委員会の懇親会の席上,私は,会派室でつまようじをくわえながらパソコンに向かっていたと指摘され,議会報編集委員である議員の皆さんに加え,市議会議長,副議長,議会事務局長,議事課長以下,職員の皆さんがそろっている席で,何度も何度も,おっさんじゃないかと繰り返し言われました。 誤解しないでいただきたいのですが,私は,つまようじをくわえていたから,おっさんに見えたという趣旨の発言自体を問題にしているわけではありません。私自身は,つまようじをくわえてキーボードをたたいていたという記憶はないのですが,もし本当に会派室でつまようじをくわえていて,それが不適切であるのなら,その場で,やめたほうがいいよと注意すればいいだけのことです。 その場で済ますことなく,先ほども言いましたように,議会報編集委員である議員の皆さん及び市議会議長,副議長,議会事務局長,議事課長以下,職員の皆さんがそろっている半ば公の場所で,面白おかしく大げさに言われたことを問題にしています。 刑法第230条及び刑法第231条においても,会派室のような場所で個人的に指摘することに対しては,罪に問われることはありません。しかし,公の場で名誉を毀損したり侮辱したりした場合には,刑事責任を問われる可能性があります。 また,この件は,私がトランスジェンダーであるから,特別に配慮してほしいと主張しているわけでもありません。 皆さん,ニュース報道で御承知のように,麻生太郎自民党副総裁が本年1月28日,福岡県芦屋町での講演で,上川外務大臣について,このおばさんやるね,そんなに美しい方とは言わんけれどもと発言して,大問題になりました。 相手がトランスジェンダー女性であろうと,シス女性であろうと(シス女性というのは,生まれてからずっと女性で生きている人のことです。),シス女性であろうと,相手がどんな人であろうと,こういう思慮の浅い発言を行ってはならないのです。