米デューク大学のチームは乳児の心臓移植で新しいアプローチを試しました。
彼らは心臓が停止した直後に摘出し、手術室で短時間だけ拍動を再開させて心臓の状態を確認し、その後急速に冷却保存して運ぶ方法を用いました。
この方法を使い、3か月の乳児への心臓移植に成功しています。
こうした新しい技術は、「心臓を再び動かさずに移植に役立てる」という点でREUP法と共通しており、心臓移植の新たな方向性を示しています。
世界の移植医療を変えるリアップ法、そのインパクトと未来予測

今回の研究によって、「心臓を再び動かすことなく、停止した状態のまま新鮮に保存する方法が実現可能である」ということが示されました。
これは単に科学的な成功だけでなく、心臓移植をめぐる倫理的な壁を乗り越える可能性を持っています。
心臓移植と聞くと、多くの人は漠然とした不安や心理的抵抗感を覚えます。
特に、これまで主流だった脳死ドナーからの移植では、「まだ動いている心臓を取り出す」というイメージが、どうしても拭えなかったからです。
また体内常温灌流法(NRP)では体内で再び動き出した心臓や脳への血流を防ぎ脳の復活を阻止するなど、倫理的に厳しいと判断される手段がとられていました。
しかしREUP法では、ドナーの心臓を再び動かすことなく「止まったままの状態」で鮮度を保つという全く新しい方法を採用しました。
これにより倫理的負担が大きく軽減され、しかも心臓の長期保存が実現しました。
また、この方法のもう一つの大きなメリットが経済的な負担の軽減です。
従来の体外保存法では、高額で複雑な専用装置が必要であり、実施できる病院や地域が限られていました。
REUP法は専用の高価な装置を使わずに、比較的安価でシンプルな設備を用いて心臓を保存することが可能です。