それらを大きく分けると二つになります。

一つ目は生物学的要因です。

例えば加齢に伴って月経周期の卵胞期が短縮するとY染色体精子が有利になる可能性(男児が生まれやすい)や、膣内環境が酸性に傾くとX染色体精子が有利になる可能性(女児が生まれやすい)が指摘されていますが、これらはまだ仮説段階です。

各女性が年齢とともに示すこうした変化の度合いが異なるために、結果として「この人は男の子ばかり」「この人は女の子ばかり」という差が生じうる、と研究者らは推測しています。

また、遺伝子変異の関与についても、ホルモン分泌の微妙な違いや受精卵の着床・維持能力、あるいは夫婦の相性(免疫学的適合性)などを介して性別に偏りをもたらす仕組みが存在する可能性があります。

今回検出された遺伝子変異は、母親の初産年齢や他の生殖関連形質(初経や閉経の年齢など)とは無関係に作用していると考えられ、今後その具体的な働きを突き止めることで新たな生命科学的知見が得られるでしょう。

二つ目は行動学的要因です。

親が望む性別の子どもを得るまで子作りを続ける、あるいは男女両方を得た時点で子作りをやめるといった家族計画上の意思決定も、家族内の性別パターンに影響を与えます。

特に先述のように2人までの子どもでは「男女1人ずつ」で打ち止めとなる夫婦が多いため、全体として男女が揃った家庭が過剰に多く見えます。

一方、もともと生物学的に偏りやすい母親であっても、希望の異性の子どもを得るため通常より多く出産するケースが考えられます。

研究チームは、このような人間の行動要因と生物学的要因の両方が相互に作用しあって実際のデータに現れる偏りを形作っている可能性が高いと結論付けています。

たとえば、生物学的に「男の子ばかり生まれやすい母親」ほど女の子を求めて出産回数を増やす傾向があり、その結果として非常に子沢山になるも結局全員男の子……という家族も想定されます。