これは男女が揃った時点で出産をやめるカップルが多いことを反映したものと考えられます。

反対に、3人以上のきょうだいがいる家庭では同性ばかりの組み合わせが混合より増える傾向が見られました。

つまり「同じ性別の子が続いたので、違う性の子を求めてもう一人トライした」というケースもあれば、それでも結果的に同性が続いてしまった家族も多いわけです。

このように親の行動(望む性別の子どもができるまで産み続ける/両性が揃ったらやめる)は、家族内の性別パターンに影響を与えます。

この影響を取り除いて純粋な生物学的傾向を測るため、研究チームは各女性の「最後の出産」を除外する感度分析も行いました。

すなわち、各家庭がもう一人子どもを持つと仮定して分析することで、「打ち止め効果」(いわゆる“コレクター趣向”)を弱めたのです。

その結果、偏りの傾向はむしろ一層鮮明になり、統計的な有意性も高まったといいます。

これは、親の出産打ち切り行動が偏り現象を過小評価させていた可能性を示しています。

つまり、本来はもっと偏りやすい体質の母親であっても、途中で出産をやめてしまえば「偶然両方産んだだけ」のように見えてしまうからです。

このように、子どもの性別が家庭ごとに異なる『偏り』を持つことが、統計的にも明確になりました。

しかしそうだとすると、いったい何が母親ごとに生まれやすい性別を決めているのでしょうか?

母親の遺伝子に隠された「男児優勢・女児優先」スイッチとは

母親の遺伝子に隠された「男児優勢・女児優先」スイッチとは
母親の遺伝子に隠された「男児優勢・女児優先」スイッチとは / Credit:Canva

では、なぜ母親ごとに子どもの性別の偏りが生じるのでしょうか。

研究チームはこの問いに迫るため、考え得る様々な母親側の要因をデータから検証しました。

年齢、人種、体格、生活習慣、さらにはゲノム解析(遺伝子レベルの差異)まで網羅的に調べたのです。

その結果、いくつかの興味深い関連要因が浮かび上がりました。