その結果、子どもの人数(きょうだいの数)が多い家庭ほど、性別の分布が単純な50%の期待値からズレていることが明らかになりました。
言い換えれば、家族内で子どもの性別が偏って生まれているケースが、偶然では説明できないほど多く存在するのです。
統計的には、この分布は従来考えられていた単純な二項分布(各出生が独立で50%の確率)ではなく、各家庭ごとに確率が異なる「ベータ二項分布」に適合すると分析されました。
これはまるで「各家庭ごとに重りのついた(偏った)コインを投げているようなもの」だと研究者らは表現しています。
ある母親はやや男の子が生まれやすいコイン、別の母親は女の子が出やすいコインを持っている、といったイメージです。
この偏りを端的に示すため、研究では「次の子が同じ性別となる条件付き確率」を計算しました。
モデルによれば、最初の2人が同じ性別だった家庭では、3人目も同じ性になる確率が約54%程度と、やや50%を上回りました(男児2人の場合は3人目も男児、女児2人の場合は3人目も女児)。
さらに、3人連続で同じ性別だった家庭では、その確率が一層高くなり、男児が3人続いた家庭では4人目も約61%、女児が3人続いた家庭では4人目も約58%という予測が得られました。
実際のデータでも、4人目以降までいる家庭数は限られるものの、概ね同様の傾向が確認されました。
この結果は、「一度出たコインの目に次もなりやすい」という家族内相関の存在を示唆しています。
一方で、データには「親の意思による子どもの人数調整」も反映されています。
例えば「男の子と女の子を一人ずつ得たらそれ以上子どもはもう十分」と考えて、2人で打ち止めにする夫婦も多いでしょう。
実際、本研究でも2人きょうだいの家庭では「1人が男児、もう1人が女児」というパターンが他の組み合わせ(男男・女女)より有意に多いことが確認されました。