一方で、失点数の多さは課題だ。2025シーズン第20節終了時点で43失点は、攻撃にリソースを割くことで守備が手薄になるリスクを物語っている。しかし、寺田監督は失点を恐れず、攻撃で取り返すスタイルを貫く。これは、福島が単なる結果だけでなく、スタジアムを訪れた観客の“顧客満足度”を重視していることを示しているのではないだろうか。

SC相模原 写真:Getty Images

コメントにも表れる選手の攻撃意識

さらに福島の攻撃サッカーは、選手たちの意識にも支えられている。選手たちも失点の多さを気にせず、攻撃で結果を出すことにフォーカスしているようだ。

相模原戦の試合前コメントで、MF城定幹大は「得点を取るという、一番サッカーの面白いところを見てもらえるすごくいいチャンスだと思う」と語り、攻撃への意欲を示した。

また、MF上畑佑平士も、7月11日の第19節ツエーゲン金沢戦(金沢ゴーゴーカレースタジアム/1-2)で敗戦後にもかかわらず「僕たちはまだまだ死んでない。やれると思う」と前向きな姿勢を見せた。

試合が終わるまで何が起きるか分からない

相模原戦では、福島は前半19分にFW森晃太がゴールを決めたが、その後は防戦一方。9本のシュートを浴びたが、GK吉丸絢梓の多くのファインセーブも飛び出し、さらにDF陣の体を張ったシュートブロックで得点を許さなかった。途中出場のFW清水一雅やFW矢島輝一もカウンターを狙い、終盤まで追加点の匂いは感じさせた。福島のチームカラーから、先制したとしても“このまま終わるハズがない”と思わせながらも、いい意味で“らしくない”試合運びで連敗を止め、この試合では失点を0に抑えた。

過去の試合では守備の連携ミスから失点するシーンも多く、5月17日の第13節鹿児島ユナイテッド戦(白波スタジアム)では5失点、6月22日の第17節FC大阪戦(花園ラグビー場)では7失点を喫した。