相模原戦では、森が前半19分に挙げた1点を守り切り1-0の勝利を収めたが、寺田監督の戦術は基本的に、ボールを保持し、積極的にゴールを狙うことで相手にプレッシャーをかけ、試合の主導権を握ることを目指している。
昨2024シーズンの福島には、現在J2ロアッソ熊本で活躍中のFW塩浜遼や、今季J1川崎フロンターレに復帰したMF大関友翔らが在籍。リーグ5位でシーズンを終え、J2昇格プレーオフに進出した(4位の松本山雅と1-1で引き分けたものの、大会規定により敗退)。
塩浜は、今シーズン熊本で第4節からスタメンに定着。第23節終了時点で9得点を挙げ、チームのトップスコアラーとして攻撃を牽引している。
大関は当時、川崎から育成型期限付き移籍で加入し、19歳の若さでJ3ベストイレブンに選出される活躍を見せた。川崎に復帰した今季はAFCチャンピオンズリーグエリート(ACLE)でのパフォーマンスが評価され、E-1選手権に臨む日本代表にも初選出された。

福島のサッカー文化と攻撃志向の歴史的背景
福島の攻撃サッカーは、チームの歴史にも根ざしている。2014年にJ3リーグに参入して以来、地域密着型のクラブとして、震災で傷付いた福島県の復興と元気を象徴する存在を目指してきた福島。公式サイトでは「スポーツを通じて福島を元気に/子供達に夢を/世界に誇れる福島を」と掲げている。
例えば、地元農家との協業として野菜や果物を栽培・販売する「農業部」や、その食材を使用した「カレー部」(部長はいずれもFW樋口)もその一環で活動している。“超”の付く攻撃的なサッカーもこのミッションを体現する手段の一つだ。
過去のデータを見ても、福島の攻撃志向は顕著だ。2024シーズンのデータによると、福島の1試合平均シュート数はJ3リーグ上位に位置し、チャンスビルディングポイント(攻撃の質を測る指標)もリーグ平均を上回る。