視野を広げてくれと言いたい。ロシアがソーシャルメディアの広告を買って選挙に影響を及ぼすのはいけないことだと信じてもいいでしょう。……でもね、あなたの民主主義が、外国からの数十万ドルの広告で破壊されるようなものなら、そもそも大して強い民主主義じゃなかったのでは?
2025.2.14のミュンヘンでの演説 山形浩生氏の訳文から、誤字を修正
そもそも、いまの日本が根本的に「どこかおかしい」という疑念から、既成の政党やメディアで主流の論調を嫌い、意想外の選択肢に投じる現象は、参院選の前から起きている。昨年なら石丸伸二氏の躍進や、斎藤元彦氏の再選であり、その前にもN国だったり、色々あった。
それらもぜんぶ、ロシアが介入して「不安定化」工作を施した結果なのか。石丸氏や斎藤氏が伸びて、ロシアになんの得があるのか。そこまで自在に選挙を操れる無敵の大国なら、むしろ歯向かうのをやめたらどうか。
私たちがやるべきことは、明白であり、何度も書いている。政府とメディアと専門家が総ぐるみでまちがえた新型コロナ禍以来の失敗を放置し、検証せず、あたかも「なにも問題はなかった」かのように装っているから、社会の現状それ自体への不信が高まっているのだ。
必要なのは反省であり、誤りを認め、責任がある者を処罰し、時に失敗があったとしても「社会はまともである」と示すことだ。そうすることで初めて、「現状の全否定」を看板にする極端な政党への、期待や支持は弱まる。