民設民営でのスタジアム建設が実現すれば、ホームゲームの興行収入や地域イベントの開催による収益向上が期待されるが、建設費の返済負担やスタジアムの維持費や固定費も考慮する必要があるだろう。
また、スタジアムの収益性は観客動員に大きく依存する。福山シティの現在のホームゲームの平均観客数は公表されていないが、今2025シーズンの最高記録は6月22日に行われたベルガロッソいわみ戦(竹ヶ端運動公園陸上競技場)の3,066人。地域リーグとすれば素晴らしい数字だが、JFL、さらにJ3への昇格を視野に入れるならば、地域住民やサポーターのより強い支持が必要だ。
Jリーグ参入という野心的な目標と、地域活性化を目指すビジョンに支えられている福山シティの新スタジアム構想。民間資金による練習場整備の実績は、計画の実現可能性をある程度裏付けている。
しかし現時点では、建設地の未定、2年という短いスケジュール、40億円の資金調達の不透明さは大きな課題だ。国内の他クラブの事例を見ても、スタジアム建設には資金や用地確保の面で苦戦するケースが多く、計画の具体化が遅れれば遅れるほど「結局は単なるアドバルーンだった」として批判を受ける可能性が高い。
福山シティがこの構想を実現するには、具体的な資金計画や建設地の早期確定、行政や地域住民との協力が不可欠だ。当然ながら、建設へ向けての進捗状況を逐一、市民に公表することも忘れてはならないだろう。