(クラブ公式サイトより抜粋)

ここでも、40億円の建設費を全額民間資金で賄うと断言している。2023年度のクラブ運営法人(隆旗株式会社および一般社団法人福山シティクラブ)の総収益は3億5,700万円、経常利益は4,450万円と堅調な業績を記録している。しかし、40億円という事業規模は年間収益の10倍以上に相当し、短期間での資金調達は容易ではない。


FC今治 サポーター 写真:Getty Images

Jクラブのスタジアム建設費と比較

国内の先行事例としてJクラブのスタジアム建設費を参考にすると、例えばJ2水戸ホーリーホックの新スタジアム計画(15,000席予定)では、建設費が約50億円と試算されていたが資金調達は困難を極め、水戸市からの支援も取り付けられずに計画そのものが宙ぶらりんとなっている状態だ。

一方、FC今治の「アシックス里山スタジアム」(2021年10月26日起工、2023年1月29日開場、総工費約40億円、収容人員5,316人)は、FC今治運営会社「株式会社今治.夢スポーツ」代表取締役を務める元日本代表監督の岡田武史氏の強力なリーダーシップにより、約20億円の民間資金を調達した。

福山シティの約40億円は、収容人数や規模を考慮すると不可能な見積もりと断じることはできないが、使用するのは“5部リーグ”のクラブだ。しかも2年という短期間での資金調達には、スポンサーや投資家の手厚く素早い支援が不可欠だ。

福山シティは、企業版ふるさと納税やSDGs関連プロジェクトを活用した資金調達を進めてきた実績がある。上述の「エヴォルヴィンフットボールフィールド」はクラウドファンディングなども活用し、民間資金によって完成させた。

しかし、スタジアム建設は練習場よりも規模が大きく、資金調達のハードルは高い。現時点で具体的なスポンサーや投資家の名前が公表されていないため、甘く見積もっているのではないかという疑念を持たれても致し方無いだろう。

Jリーグ 写真:Getty Images

2年後完成スケジュールの現実性は?