今後、人間のIBD患者でも同様のメカニズムが確認されれば、より具体的で効果的な治療法が開発されるでしょう。
最後に、「ソルビトールが腸に悪影響を与える」という話を聞いて、人工甘味料を完全に避けようと考えた方もいるかもしれません。
しかし重要なのは、「人工甘味料がすべて悪い」と一方的に決めつけることではありません。
むしろ大切なのは、自分の腸内環境にどの食品が合い、どの食品が合わないのかを見極めることです。
食事は日常生活の基本であり、自分自身の身体とのコミュニケーションでもあります。
腸内細菌たちは日々私たちが摂取する栄養を受け取り、様々な形で反応しています。
だからこそ、何を食べるかを意識的に選び、自分に合った食生活を送ることが大切になるのです。
腸が喜ぶ食事とは何なのか、自分の体としっかり対話をしながら賢く食事を選ぶ、そんな時代がすぐそこに来ているのかもしれません。
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参考文献
人工甘味料が腸炎を悪化させる仕組みを解明-腸内細菌と免疫細胞が連動する新たな炎症経路を特定-
https://www.keio.ac.jp/ja/press-releases/2025/7/8/28-168155/
元論文
Dietary fermentable polyols fuel gut inflammation through M1 macrophage polarization and gut microbiota
https://doi.org/10.1016/j.isci.2025.112934
ライター
川勝康弘: ナゾロジー副編集長。 大学で研究生活を送ること10年と少し。 小説家としての活動履歴あり。 専門は生物学ですが、量子力学・社会学・医学・薬学なども担当します。 日々の記事作成は可能な限り、一次資料たる論文を元にするよう心がけています。 夢は最新科学をまとめて小学生用に本にすること。
編集者
ナゾロジー 編集部