さらに、戦略的な外国人選手の獲得もリーグの魅力を高める重要な要素だ。Jリーグは外国人枠(5人+AFC枠1人)を活用し、コストパフォーマンスの高い選手を獲得している。2018年にヴィッセル神戸は元スペイン代表MFアンドレス・イニエスタを獲得し注目度を高め、その年俸以上のPR効果を発揮した。こうした名選手はピッチ内外で若手に影響を与え、リーグの魅力を向上させる。ただし、外国人依存度があまりにも高まると、中東同様に若手育成が滞るリスクがあるため、日本人選手とのバランスが重要だ。


Jリーグ 写真:Getty Images

Jリーグも通ってきた道

中東の金満補強は、オイルマネーと国家戦略に支えられ、当面は続くだろう。しかし、原油価格の変動や若手育成の停滞、国際的批判などの要素は、長い目で見ればリスクとなり得る。

欧州クラブはFFPとアカデミー強化で対抗し、Jリーグは育成力と地域密着を武器に独自の道を進むべきだ。特にJリーグは、欧州への選手輸出を加速し移籍金ビジネスを確立させ、来2026年に控えたW杯北中米大会での活躍を通じてブランド価値を世界に示すチャンスを迎えている。

1993年5月15日に創立されたJリーグは、当初こそジーコやリネカーら世界的スターの参戦で話題を集めたが、「年金リーグ」と揶揄される一面もあった。バブル崩壊の影響で多くの外国人選手が次々と帰国し、潮が引くように観客動員も低迷した過去がある。

また、現在注目を集めているサウジアラビア、カタール、UAEの各代表チームの中で、W杯アジア最終予選でグループ上位2位に入り本戦出場を決めた国は1つもない(3か国ともプレーオフ進出)。現時点では、豊富な資金投入が代表チームの強化に直結しているとは言い難い。

中東のサッカー投資が一過性に終わるのか、あるいは世界の一大勢力となるのか。その行方は、国家と中東各国リーグのブランディング戦略にかかっている。