Working together
従来はともすれば共住者同士の日常的で親密な関係としてコミュニティが理解されてきたが、「少子化する高齢社会」が現実化して、地域人口移動がこれに重なる時代では、単なる日常的な「共住」ではコミュニティへの展望は開けない。
むしろ、図3のように①触れあい、②調べあい、③広めあい、④学びあい、⑤繋ぎあい、⑥癒しあいなどのWorking togetherを選択して、一定の地域空間で心がけることにより、古くからの居住者と新規来住者間にもコミュニティが芽生えるのではないかと考えてみたのである。
コミュニティに今日的な解釈をほどこす
言い換えれば、現場(theater)からも「コミュニティが転換期にある」という観察を踏まえて、その理論(theory)を作り直そうとしたことになる。その際に「コミュニティの再解釈の基準点」として
実態としての存在性⇔象徴的な存在性 目標としての有効性⇔手段としての資源 戦略としての現実性⇔動員できる可視性 歴史性を帯びる概念⇔将来性に富む概念 ソーシャル・キャピタルか⇔アイデンティティ意識か 社会システムか⇔ソーシャル・キャピタルか 空間性を帯びるか⇔空間を超越しているか 政治社会的概念か⇔精神文化的概念か 個人のボランタリーアクションの集積か⇔個人に外在する集合体かを用意して、コミュニティを使う際にはこの明瞭な出発点を意識しておきたいとした。
コミュニティは目標か手段か
多くの研究では、コミュニティを実態か象徴かと位置づけて、それは目標か手段かという問題意識から調査がなされてきた。
それはいいのだが、研究者本人がこの1から9までに照らして、どこまで自らの問題意識を確認しているかを、研究の最初に公言してほしいという願いがこもっている分類であった。それによって、膨大ではあるが、ばらつきもある研究成果を、もう少し交通整理しておきたいと考えたからである。