図の左側は両親が授乳する場合、右側は母親だけが授乳する場合を示しており、青色の玉は乳児の健康を支える善玉菌を示し、赤色の玉は乳児に害を及ぼす悪玉菌を示しています。
また善玉菌はどの母乳にも含まれるている一方で、悪玉菌は確率的にしか含まれていないことを示します。
この図を見ると、両親が授乳する場合、母親か父親のどちらか一方が悪玉菌を持っていれば乳児はほぼ確実に悪玉菌の犠牲になることがわかります。
一方母親のみが授乳するタイプでは、母親に悪玉菌がある場合は乳児が犠牲になることは確実ですが、父親だけに悪玉菌がある場合、乳児は犠牲にならずに済みます。
もし悪玉菌の病原性が高く乳児に致命的な場合、1度のパンデミックで種全体が滅んでしまうことになるでしょう。
一方で母親のみが授乳するタイプの場合、父親が悪玉菌に感染していても、母親が悪玉菌に感染していなければ、乳児に悪玉菌がうつることはありません。
そのため研究者たちは母親のみが授乳することが、悪玉菌を除去するフィルターとして機能していると結論しています。
ただここでの例は2組のしか考えられておらず、実際の進化が常にこの通りになるわけではありません。
4組のうち、母親が授乳するタイプでのみ悪玉菌を排除する浄化効果が起きたのは確かですが、複数の個体がいる場合にこの浄化効果がどのように作用するかは不明です。
そこで研究者たちはサンプル数を2組から複数に増加させ、さらに複数世代が経過した場合にどうなるかをシミュレーションで調べてみました。
また悪玉菌も致死率が低いものから高いものなどさまざまな種類が用意され、より現実に近づけました。
