土曜日の夕刻、食事をしようと道の駅なみえのフードコートへ行くと、とても若いカップルと高齢の夫婦が券売機の列に並んでいた。

「この時間に来ると、ほら海鮮丼がなくなっている。だから、早く行こうと言ったんだよ」と言いながらも、老夫婦は楽しげだった。

産直売り場には土産を物色する旅の人もいれば、生鮮品や冷凍品を買う地元の人がいる。道の駅なみえの裏手にはポケモン公式ラッキー公園があり、子供たちの格好の遊び場になっている。

ポケモン公式ラッキー公園

ラッキー公園の先は請戸うけど川の土手で、散策コースが整備され、犬を連れた家族たちが立ち話をしていた。

請戸川と散策コース

請戸川と散策コース

道の駅なみえが完成するまで、周辺は民家が並ぶありふれた地味な町で、請戸川と土手は荒れ果てていた。

一部地域で避難指示が解除され、道の駅建設計画が動き始めた2017年の出来事だが、人けのない町並みを眺めていた私はパトロールの警官に「なぜ、ここに居るのか。どこから来たのか」と厳しく職務質問された。「これからどこへ行くのか」と問われて、「請戸川の土手へ出てみようと思う」と答えると「すぐここから立ち去るように」と指示された。

このため土手へ出るのをあきらめたが、請戸川にかかる橋の上から眺めてみると雑草が生い茂る殺伐とした場所なのが分かった。土手の散策コースだけでなく、周辺一帯の何もかもが道の駅なみえと同時期に整備されたのである。

今年の旅では、道の駅なみえを拠点にして動き回った。双葉郡の北端を拠点にすると移動に無駄があるように思われるかもしれないが、ここにくれば周辺の施設を含め何もかもが揃い便利このうえなかったのだ。しかも箱物が造られただけでなく、箱物がとことん利用されていて、あらゆる年齢の人たちがみな柔和な表情をしているのも心地よかった。

徒歩圏内で衣食住のすべてが賄えるのは東京都の区内くらいだろうが、道の駅なみえの盛況ぶりは他の地域に同様の施設と、施設を中心にした人の流れがないのを意味する。