国道6号に出ても事情は同じで、一般車両の全面通行が可能になった2014年から変わっていない。

それでも国道6号を南下して、富岡町、楢葉町、広野町と進んで福島第一原発から離れると事情が変わる。富岡町の一部を除けば気を使わず交差点を左右に曲がり、国道から外れてもバリケードはなく、茨城県や千葉県のどこかで自動車を走らせているような気さえしてくる。

ただし温泉とサウナまである道の駅ならはに車を停めると、原発事故時に自衛隊の除染所や事故に対応する関係者の宿舎となったJビレッジが目の前にあり、施設そのものも双葉警察署の臨時庁舎だった頃の印象が重なって、ここが緊張の最前線にあったのを思い出さずにはいられなかった。

2001年に開館した道の駅ならはは、開館10年目に原発事故で休館を余儀なくされ、警察の臨時庁舎としての使用が終わったのは2019年3月だった。この1カ月後に営業を再開させたが、休業期間が全国の道の駅の発展期と重なったせいか、さらにコロナ禍もあってか、何かと古びた印象が漂っている。

駐車場にいた人に話を聞くと、温泉施設があるため車中泊の穴場なのだそうだ。この人は、「人が少なくて昼も夜も静かなので、いつも連泊している」とも言った。これが不運続きだった道の駅ならはの現在だ。

道の駅ならはから見下ろした国道6号正午前だが交通量が極めて少ない(道の駅が再開されるまで案内板の下半分に赤い字で「道の駅は現在 休館中です」と表示されていた)

ラッキー公園の希望

道の駅ならはの営業が再開した翌年の2020年、浪江町役場のそばに開業したのが道の駅なみえだ。避難指示が一部で解除され、住民が帰還し始めると生活の場を充実させる必要が生じたため建設された施設だ。

道の駅なみえ 平日の午後3時30分

産直売り場とフードコートだけでなく無印良品まである道の駅は、平日の朝から駐車場の空き枠が埋まっていく。ナンバープレートを見ると双葉郡といわき市周辺で登録されたいわきナンバーの車が多い。土曜日、日曜日ともなると、駐車場は空き枠を探すのが難しくなるほどで、まるで高速道路上の人気サービスエリアのようになる。