もしそうなら「月曜日の憂鬱」が単なる心理的問題ではなく、身体の内部に刻み込まれた長期的な生物学的問題ということになります。
果たして月曜日の憂鬱は生物学的問題なのでしょうか?
「月曜日の憂鬱」は単なる心理的なものでなく実際に生物学的問題だった

「月曜日」は本当に生物学的にストレスの痕跡を残しているのでしょうか?
この謎を解明するため、研究者たちはまずイギリスで実施されている大規模な調査「イングランド長期縦断高齢者研究(ELSA)」に参加した50歳以上の高齢者3,500人を対象として、「日常の不安感」についての調査を始めました。
具体的には、参加者に「昨日どの程度不安を感じましたか?」という質問をし、0(まったく不安でない)から10(非常に不安)までの数字で回答してもらいました。
同時に、その回答した「昨日」が週の何曜日だったかも答えてもらい、参加者が「月曜日に不安を感じた人」と「他の曜日に不安を感じた人」のグループに分けられるようにしました。
次に研究チームは、心理的なストレスが実際に体の内部にどのような影響を与えるのかを調べるために、「コルチゾール」というストレスホルモンに着目しました。
コルチゾールはストレスを感じたときに分泌される代表的なホルモンで、体内のストレスレベルを知るための重要な指標です。
しかし、コルチゾールは血液や唾液から一時的に測ることもできますが、それではストレスが瞬間的なものか、あるいは慢性的で長期的なものなのかを判別できません。
そこで研究チームは、髪の毛を使ってコルチゾールのレベルを調べる方法を選びました。
実は髪の毛には、毎日のように分泌されるコルチゾールが少しずつ蓄積されていきます。
髪の毛が1ヶ月に約1センチ伸びることを利用して、2~3センチ程度の髪の毛を採取することで、過去2~3か月間のストレス状況を評価できるのです。