実は似たような現象は世界各地でも見られ、英語圏では「ブルーマンデー症候群(Blue Monday Syndrome)」と呼ばれます。

また驚くべきことに、週の他の日と比べて月曜日には心筋梗塞や脳卒中など深刻な心臓血管疾患のリスクが約19%も高くなることが分かっています。

また、悲しいことに自殺率さえも週明けに高くなるという研究結果があり、『月曜日』という日は単なる気分の落ち込みにとどまらない、重大な社会問題にも関わっています。

なぜ週明けの月曜日にこれほどまで不調が集中するのでしょうか?

これまでの研究者の多くは、週末にリラックスして過ごした後に再び忙しい平日の生活リズムに戻るストレスが原因だろうと考えてきました。

週末の緩やかなリズムから急に切り替えることで心理的ストレスが発生し、それが月曜日特有の『ブルーマンデー症候群』につながるというのです。

しかし、これらの研究はあくまでも心理的な側面に焦点を当てており、『気分』が『身体』にどのように影響を与えるのかについては明確な説明がありませんでした。

ここで重要な疑問が浮かび上がります。

それは、月曜日に感じる不安やストレスが一時的な感情の変化だけに留まらず、身体の内部で何らかの長期的な変化を引き起こしているのではないか、ということです。

例えば、不安や緊張を感じると一時的に心拍数や血圧が上がりますが、もしかすると月曜日に繰り返されるこのストレスは、体内のホルモンバランスにもっと根深く、慢性的な影響を与えているのかもしれません。

さらに興味深いのは、仕事や学校が月曜日に再開することが原因でストレスが生じるとしたら、退職した人や仕事から離れた高齢者にはその影響がないはずです。

しかし実際はどうなのでしょうか?

このような疑問に対し、香港大学のタラニ・チャンドラ教授らの研究チームは、『月曜日の不安が、身体のストレス反応システム(HPA軸)を慢性的に乱してしまう可能性がある』という仮説を立て検証を行うことにしました。