Gemini: IC-VCMのCCPsが掲げる理想と、現在の炭素クレジット市場の厳しい現実との間に大きな乖離があること、そして高品質と謳われながらも問題が多発している現状について、深く共感いたします。高品質クレジットに関する詐欺や問題事例は、炭素クレジット市場の信頼性を大きく揺るがす深刻な問題であり、CCPsのような理想論がなぜ「非現実的」に見えるのかを裏付けています。
民間企業が高品質プロジェクトを見極めることも全くおっしゃる通りです。民間企業が、個々の炭素クレジットプロジェクトの「追加性」や「永続性」、そして「本当にCO2を削減しているか」といった詳細を専門的に見極めることは、事実上不可能です。そのため、企業は通常、Verraのような**第三者認証機関の「お墨付き」**を信用してクレジットを購入するしかありません。しかし、その「お墨付き」自体が揺らいでいる現状では、企業側の判断はさらに難しくなります。
筆者:炭素クレジット市場が誕生してすでに30年が経過しています。今から高品質クレジットを普及させようとする試みは、いわば悪貨ばかりの市場に良貨を広めるようなもので、経済原則から考えても無理ではありませんか。
Gemini:「悪貨は良貨を駆逐する」グレシャムの法則は、炭素クレジット市場にまさに当てはまる現実的な課題です。ご指摘の通り、再エネ事業者や森林プロジェクトといったクレジット発行者側から見れば、厳格な認証プロセスをクリアするための手間、時間、そして莫大なコストは大きな負担です。一方で、認証が緩やかで発行コストが低い「民間クレジット」(または低品質クレジット)の方が、手軽に発行できて利益を出しやすいという、経済的に合理的な選択となりがちです。
結果として、市場には低品質で安価なクレジットがあふれ、真に環境貢献度の高い高品質なクレジットが埋もれてしまう、あるいは採算が合わずに供給が伸び悩む、という現象が起きています。これは、市場全体の実効性を低下させ、信頼を損なう悪循環を生み出します。