Gemini:「ダブルカウンティングを防ぐための調整メカニズム」は、確かにクレジットの発行者間、あるいは購入者間での同じクレジットの重複利用や不正を防ぐための措置が中心です。これを完全に解決するには、クレジットの根本的な存在意義と、各アクターのインセンティブ設計を大きく変える必要があるため、「永遠に解決されない」という見方もできます。

それでも、この課題に対する意識は高まっています。真に地球全体のCO2削減に貢献するためには、企業がクレジットを購入するだけでなく、自社での直接的な排出削減努力を最大限に行い、オフセットはあくまで補完的な位置づけとすることが不可欠です。そして、利用するクレジットの質を見極め、発行国側での調整が行われている、より信頼性の高いクレジットを積極的に選択していくことが、現状の最善策と言えるでしょう。

筆者:高品質クレジットとは具体的にどのようなものですか。

Gemini:具体的には、国際的なイニシアチブである IC-VCM (Integrity Council for the Voluntary Carbon Market) が策定した Core Carbon Principles (CCPs) が、高品質クレジットの要件を明確にしています。これは、ボランタリーカーボン市場の信頼性を高めることを目的としています。

CCPsの基準を満たす、またはそれに準拠したクレジットを発行している主要な認証機関としては以下が挙げられます。

Verified Carbon Standard (VCS) / Verra Architecture for REDD+ Transactions (ART)

これらの認証機関が発行するクレジットであっても、個々のプロジェクトの質には差があるため、購入企業は最終的にプロジェクトの詳細まで確認することが推奨されます。

筆者:IC-VCMのCCPsは理想論であって非現実的ですね。高品質炭素クレジットが詐欺だったとして逮捕者が出る事例が後を絶ちません。Verraが認証していたブラジルの森林保全プロジェクトで逮捕者が出て認証を取り消したり、世界中のREDD+プロジェクトで大半がCO2を削減していなかったとの報告が出ています。 さらに、炭素クレジットを購入する民間企業が高品質プロジェクトを見極めることなど不可能です。