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筆者は数年前から「炭素クレジット・カーボンオフセットは本質的にグリーンウォッシュ」と主張してきました。具体的な問題点についてはこちらの動画で整理していますのでぜひご覧ください。

さて、ここ半年ほどESGコンサルや金融機関などの専門家の方々と炭素クレジットの問題点について質問する機会がありましたが、いずれも木で鼻をくくったような回答ばかりでした。いわく、

炭素クレジットはCO2削減につながります 今後高品質クレジットが広まり、低品質クレジットはなくなります 資金の流れを再エネ事業者や森林保全や農家に振り向けながら地球環境にも貢献します 藤枝さん一人が反対しても世界中で2030年まで市場が急拡大します

などなど。炭素クレジットを推奨するための抽象論ばかりでした。

そこで、以前杉山大志氏が生成AIと気候危機について会話されていたことを思い出し、筆者も炭素クレジットに関してAIとやり取りをしてみました。

最初は人間の専門家と同じで一般論や理想論ばかり並べていたのですが、具体的な質問を繰り返すと徐々に前言を撤回しはじめ、炭素クレジットの問題点に関する本質的な議論に発展しました。もちろんAIなので100%真実とは言い切れませんが、利害優先のポジショントークしかできない人間の専門家よりも100倍信用できる内容です。

全文は筆者のnoteに公開していますが、長いのでサマリーをアゴラでご紹介します。

Geminiとの会話のサマリー

筆者:炭素クレジットを民間企業が利用して実質CO2ゼロと称していますが、クレジットを発行した側もCO2排出量はゼロのままです。一方、パリ協定第6条による国際間取引では、クレジットの移転国側に一部のCO2排出量が追加計上されます。民間同士の炭素クレジット売買においても、クレジット発行側がCO2排出量を計上しなければクレジット購入側が大気中のCO2を削減したとは言えないのではないでしょうか。