「台風」 発生数や日本への接近数・上陸数、強さに変化傾向はみられていません。一方で、台風は太平洋上で強さを増しつつ北上し、日本付近へ近づいてきますが、その強さが最も強くなる場所が北寄りに変化していることが明らかにされています。

A-PLAT「気候変動とは」-「1-3 これまでの気候」

これは、「1-(4)項目」で述べた「台風は大型化していない」という主張に対する反論のようにも思えます。しかし、杉山氏がグラフを用いてわかりやすく丁寧に解説しているのに対し、A-PLATの説明はわずか3行で終わっています。

「台風の強さが最も強くなる場所が北寄りに変化している」という主張についても、それを裏付ける明確なデータが示されているわけではありません。仮にそのような傾向があるとしても、海水温が上昇しているのなら、それは自然な現象ではないでしょうか。

中緯度に住む人々にとっては、強い台風が近づくことになり脅威かもしれませんが、逆に熱帯地方の人々にとっては歓迎すべき変化である可能性もあります。このように、突っ込みどころの多い記述であると言わざるを得ません。

さいごに

今回は、いわゆる「CO2悪者説」の問題点について、さまざまな視点から指摘してきました。ただし、私自身は、エネルギーの無駄遣いをやめ、CO2の排出量を削減していくこと自体には賛成です。

しかし現在の日本では、何かにつけてCO2を悪者とし、エネルギー源を化石燃料から太陽光や風力といった再生可能エネルギーへと強引に転換させようとする動きが目立ちます。そして、そのエネルギー転換のために、膨大なコストを投じることもいとわないという状況です。こうした方針は、結果としてエネルギー価格の上昇を招き、日本経済の弱体化を引き起こしかねません。

私は、こうした「エネルギー転換至上主義」は一刻も早く見直すべきであり、安価で安定したエネルギーを大量に供給するという現実的な方向に舵を切るべきだと考えています。