その上で、リーダーがすべきことは、次回の目標設定の見直しです。 田中さんの目標値を引き上げたり、単純な契約数だけでなく「契約率(コンバージョン)」を新たな評価項目に加えたりと、設定を工夫していくのです。
識学は「硬直的で冷たい」は誤解?:批判への見解とマネジメントの本質
玉村:識学に対しては「硬直的だ」「部下のモチベーションを下げる」といった批判や誤解をよく耳にします。 この点について、羽石さんの見解をお聞かせください。
羽石:まず「モチベーション」についてですが、私たちは、モチベーションは上司が部下に対して上げるものではない、と考えています。 モチベーションとは、本人が目標達成という成功体験を通じて、自らの内から湧き上がってくるものです。 上司の役割は、登るべき山(目標)を明確に設定し、登るための環境を整えてあげること。 途中で「頑張れ」と励ますことではありません。
次に「硬直的だ」という点ですが、むしろ逆です。 多くの会社が硬直化するのは、社長の機嫌や上司の気分といった、正体のわからないもので物事が決まるからです。 それでは誰も意見を言えません。 私たちは、すべてを「ルール」として明文化します。 ルールにすれば、社長も新入社員も同じ土俵で、「このルールはもっとこうすべきだ」と意見が言えるようになります。 ルールは変えるためにあり、その変更プロセスを設定することで、組織はむしろ柔軟になり、硬直化を防ぐことができるのです。
まずは何から始める?:家庭でも使える識学導入の第一歩
玉村:最後に、このインタビューを読んで識学に興味を持った方が、すぐに実践できることがあれば教えてください。
羽石:最も簡単で、最も効果的な第一歩は、部下や相手に「こうしてほしい」と望むことを、会話ではなく「文章」にして共有することです。 例えば部下に対してイライラすることがあるなら、「なぜイライラするのか」「具体的に何をしてほしいのか」を一度書き出してみる。 そして、「朝8時のミーティングには絶対に遅れないこと。もし遅れる場合は〇〇すること」というように、明確なルールとして示す。