玉村:次に、明らかに誤った命令、特にコンプライアンスに反する指示への対応についてです。 例えば、上司から「利益が出るから、この無名産地の肉を『松阪牛』と偽って売れ」と指示された場合、部下はどうすればいいのでしょうか。

羽石:まず大前提として、私たちは社会や法律といったコミュニティのレギュレーション(規則)の中で生きています。 このレギュレーションを破れば、そのコミュニティにはいられなくなる。 この環境認識が何よりも重要です。

ご質問の「松阪牛」のケースは、明らかに法律や社会のルールを逸脱しています。 これに従えば、会社だけでなく自分自身の身も危うくなる。 ですから、その指示に従う必要は全くなく、むしろ自分の身を守るために回避すべき行動を取らなければなりません。

玉村:では、レギュレーションの範囲内ではあるものの、部下から見て「これはうまくいかないだろう」と思われる指示の場合はどうでしょう。

羽石:その場合は、一度はその指示に従う必要があります。 それが組織のルールだからです。 ただし、それで成果が出なければ困るのは自分自身ですから、「うまくいきませんでした」という事実情報を、上司が正しい判断をするまで上げ続けることが重要です。 そもそもビジネスに絶対的な正解はなく、いかに早く失敗して経験を積むかが重要です。 上司の間違いに付き合う覚悟も時には必要で、その失敗の責任は、最終的に指示をした上司が取る。 この前提が組織として共有されていることが不可欠です。

Google神の一存で決まるSEO業界:外部要因が大きい場合の評価方法

玉村:私の専門であるSEOの業界では、Googleのアルゴリズムという外部要因が非常に大きく、努力とは無関係に結果が上下します。 SEO業界の権威である渡辺隆広氏も「数字には絶対コミットしない」と公言しているほどです。 このように外部要因の影響が極めて大きい場合、結果だけで評価する識学のメソッドは通用するのでしょうか?