もっとも共和党出身とは言ってもジョージ・ブッシュ大統領が指名した判事も複数存在しており、これまで確かに国家緊急事態法とIEEPAは濫用されており、議会報告も形骸化してきたものの、あえて正面から問われて合法との結論を出すのはかなり恥ずかしい行為である。何年かかってもIEEPA関税は違法行為であると示されるだろう。
もっともトランプ政権も――恐らく最初から怪しいと思っていたからこそ――プランBも用意しており、貿易赤字(!)対処のために15%までの関税を150日間課徴する権限を大統領に付与した1974年通商法122条で5ヶ月ほど時間を稼ぎ、その間301条を動員する調査を済ませるという算段を立てる。
なお122条はこれまでに発動された前例がない。金融市場では1日でナッシングバーガー認定を受けているが、違法判決は通商交渉の遅滞にも少しは寄与したのだろう。最初から違法と分かっている関税を取り消してもらうのに、どうして米国に何らかの利益を与えなければならないのか。もっともこの判決でさえ232条関税には触れておらず、それだけ232条関税を他国が交渉で撤廃してもらうのは難しいということである。
・「解放の日」以来イギリス、ベトナムだけがディール締結 ・10%基礎関税はなくならない ・ディールは10%基礎関税のみになるとは限らない ・放免、ディール、延長、書簡の4組が存在する ・EUと韓国など主要先進国は基本線が「9/1まで延長」 ・日本は主要先進国の中では最も態度が悪く、書簡に近い可能性 ・基本的には主要先進国は書簡組に入らないだろう ・主要先進国が書簡組に入った場合は衝撃に備える必要 ・IEEPA関税は数年後に違法との結論になる可能性が高い
編集部より:この記事は、個人投資家Shen氏のブログ「炭鉱のカナリア、炭鉱の龍」2025年7月7日の記事を転載させていただきました。