表5に基づいて流れを説明すると、1900‑30年代には、都市ごと・水系ごとの乱立が進み、1933年に800社を超えるに至った。これは戦時期に統制によって統合され、1951年から約半世紀は垂直統合・地域独占になり、自由化は自家発やIPPの参入など部分的に留まっていた。

しかし東日本大震災・福島第一原子力発電所事故を政治的な契機として、全面的な電力システム改革が始まった。2020年の法的分離で、発電と小売は参入規制が大幅緩和され多様化、送配電は公共インフラとして地域ごとに10社独占を維持しつつ、中立化を徹底することになった。2025年に至ると、登録ベースでは小売 770社、発電 3000社超を数えるに至っている。

事業者数だけは戦前の乱立期なみになったが、これが果たして成果だろうか? 複雑で不透明でいつまでも機能しそうにない制度設計無間地獄に陥った電力システム改革は、白紙(=東日本大震災前)に戻すべきではなかろうか。

『データが語る気候変動問題のホントとウソ』