チャート:週当たり平均労働時間、伸び悩み傾向続く
(出所:Street Insights)
〇総労働投入時間、民間の総賃金
総労働投入時間(民間雇用者数×週平均労働時間)は民間の就労者数の伸びと週当たり労働時間が前月を下回ったため、前月比0.2%減と4カ月ぶりにマイナスだった。
民間部門の総賃金(雇用者数×週平均労働時間×時給)は、賃金の伸びが鈍化したため前月比横ばいと、増加基調を10カ月で止めた。前年同月比は4.5%増と9カ月ぶりの低い伸び。3カ月平均は4.9%増と、3カ月ぶりに5%を割り込んだ。
チャート:民間部門の総賃金、前月比と前年比ともに鈍化
(出所:Street Insights)
〇失業率、労働参加率、就業率、不完全就業率、長期失業者
失業率は前月まで3カ月連続で4.2%を経て4.1%、市場予想の4.3%に反し改善した。労働参加率が62.3%と22年12月以来の水準へ低下したことを一因に、失業率を押し下げた。また、家計調査での就業者が同9.3万人増だった一方で、失業者数が同22.2万人減と失業率の低下につながった。
自発的離職者数は前月比12.1万人増の82.5万人と、2021年1月以来の低水準だった前月分の減少幅をほぼ打ち消した。55歳以上で労働参加率が低下しており、株高を受け引退者が増加したとみられる。自発的離職者数に占める失業者の割合は2021年5月以来の10%割れを迎えた前月の9.8%→11.8%へ戻した。
チャート:自発的離職者数、3カ月ぶりに増加
(出所:Street Insights)
失職者数(一時的な解雇ではなく再編やM&Aなど会社都合での解雇者、派遣など契約が終了した労働者)は、前月比15.0万人減の243.3万人と5カ月ぶりに250万人を割り込んだ。
失職者数の割合は6カ月ぶりの水準へ上昇した前月の36.0%→34.9%へ低下も、失業者のシェアで1位を維持した。失職者のうち、完全解雇者が労働人口に占める割合は前月の1.11%と、2021年11月以来の高水準を維持した前月の1.12%と概ね変わらず。レイオフ(一時解雇)は86.0万人と3カ月ぶりに減少した。ただし、他と比較して小幅だったため、失業者に占めるレイオフの割合は前月の12.2%→12.3%へ上昇した。