一方、台湾でも1人当りのコメ消費量はほぼ一貫して減少してきた。03年に50㎏/人を下回ってから08 年までは48㎏/人前後であったが、11年から45㎏/人台で推移し、15 年は45.7㎏/人であった。日本も同様で、1962年に118kgだったものが、22年には50.9kgまで減少した。筆者の経験でも、日本人と比べて台湾人はご飯以外のもので食事を済せることが多い。
そこで「代耕」のことになる。それは農業経営者に代わって農作業を行うことをいう。「部分代耕」と全作業を行う「全部代耕」があり、台湾の主流は前者である。「部分代耕」の作業は、育苗、整地、田植え、肥料、農薬散布、収穫等で、台湾の特徴は各作業に専門業者が存在し、それらの業者が機械を利用して代耕するところにある。これは「機械代耕」と呼ばれている。
少し古い90年のデータが載っていて、「部分代耕」を使って行われる規模別の作業別割合は、「0.5ha未満・・育苗92%、整地91%、田植え92%、収穫96%」、「0.5ha ~1.0ha未満・・育苗91%、整地85%、田植え91%、収穫96%」、「3.0ha 以上・・育苗72%、整地52%、田植63%、収穫87%」である。つまり、「代耕」は規模の大きいほど減少する(機械を所有して自分でやる)ものの、ほぼ大小に関わらず行われていると言って良い。
地域別にみると中部地区(中南部の意か?)が多い。稲作以外も含む農業全体では全台湾では56%余りだが、中部は65.4%で、整地、育苗、田植え、収穫の全ての作業で全台湾に比べ高い。筆者の知人によれば、台湾は二期作が主流だが、北部は一期作、中南部(台中・嘉儀・台南・高雄)は二期作、屏東以南(恒春)は二期作+その他とのこと。八田興一の烏山頭ダムが潤す嘉南平野は嘉儀と台南に跨っている。
調査報告は、台湾の稲作農家が約21.3万戸である一方、田植え機は19,432台、稲刈り機は9,710台あるから、田植えは代耕業者1社が21戸の農家から、稲刈りは1社が42戸の農家から受託していると、少々大雑把な推定をしている。また、稲刈り機は自脱式コンバイン(穂先だけ刈って脱穀もする)が主で、総台数は05年の19.488台から半減したが、これは機械の主流が2条~6条から6条~8条へと大型化したことによるとある。