次は「農機のリース」。筆者が台湾高雄に在勤していた2013年当時、日本人会の仲間だった某農機メーカーの董事長から「台湾には田植え機や稲刈り機を持つ業者がいて、島中の農家を回って作業を請け負っててるんですよ」との話を聞いた。筆者が「それじゃ農機が売れませんね」というと、「そうなんです。補修部品が多いんです」と返って来た。進次郎氏の「農機のリース」でこの話を思い出した。

改めて調べてみるとそれは「代耕」という仕組みだった。進次郎氏が読んだかどうかは判らないが、「『代耕』-台湾稲作における作業受委託-に関する調査」と題する、 JA三井リースと農林中金総合研究所が16年8月に台湾で行った65頁に上る詳細な調査報告書をネットで読むことが出来る。紙幅の関係でその「さわり」を紹介する。

台湾のGDPに占める農業の割合は1.8%に過ぎない。が、総戸数834万戸に対し、農家戸数は78万戸と9.4%を占め、総人口2329万人の12.9%に当たる301万人が農家人口である。日本の総世帯数に占める総農家数は 3.8%、総人口に対する農家人口は4.0%である。農業を営む台湾人の比率は日本の約3倍という訳である。

台湾のコメ生産量(玄米換算、以下同様)は126万t(15年)で、07年の110万tを底に漸増し概ね120万tから130万t台で推移している。稲作は二期作が普及しており、15年における第一期の生産量は85万t、第二期は41万tである(24年の日本の生産量は679万t)。 稲の種類では蓬莱米(ジャポニカ米)が中心で、15年の蓬莱米の生産量は115万tと全体の9割を占めている。

生産量増加の理由として、13年から実施されている「調整耕作制度活化農地計画」がある。この計画は転作と休耕を奨励しているが、休耕の場合は第一期のみが補助されるため、一部農家に第一期は米を作付けようとの意思決定が促された。15年の単収は5t/haで、第一期が5.8t、第二期が3.9tで毎年第一期の単収が高いが、第二期は台風を避けて作付けを減らしている影響もある。