この時、取り扱いに迷うのが諸手当の扱いです。役職手当、住宅手当、家族手当、固定残業手当などさまざまな手当がありますが、どの手当を控除の対象にするかは、企業が任意で決めることができます。

どの手当を控除するかが決まったら、就業規則に明記しましょう。

ここで注意が必要なのがフレックスタイム制を適用している従業員です。

フレックスタイム制は従業員が始業・就業の時間を自由に決められる働き方です。決められた期間(清算期間)の総労働時間を満たしていれば欠勤控除はできません。

フレックスタイム制で働く従業員に対して欠勤控除をする場合、清算期間の総労働時間と実際の労働時間の比較でいくら差し引くかを判断します。たとえば、清算期間が1カ月、総労働時間が160時間だった月に、実際の労働時間が150時間しかなければ、10時間を欠勤控除することができます。

このように「実際に働かかなった時間分」に対して給料を控除することは認められていますが、ペナルティとして働かなかった分以上の給与を控除するのは違法になりますので、注意が必要です。

欠勤後に「有給休暇に振り替えたい」と言われたら、会社は応じる義務はあるのか?

前述したとおり、労働日に労働できないと欠勤扱いになり、休んだ分を給料から控除することは会社の権利です。では、従業員から欠勤後に「有給休暇に振り替えたい」と言われた場合、会社は応じなければならないのでしょうか?

有給休暇は従業員の権利なのだから、申請すればいつでも取得できると理解している方も多いでしょう。しかし、事後申請の有給休暇を認める義務は会社側にはありません。

有給休暇には時季変更権があります。「事業の正常な運営を妨げる場合」は、従業員から請求された有給休暇を他の日に取得させることができる会社側の権利のことです。

有給休暇が事後に申請されると時季変更権を使うことができなくなるため、事後請求の有給休暇は認める必要はないとされているのです。