有給休暇を利用せずに会社を休むと、働かなかった時間分の賃金が給与から引かれます。これを欠勤控除といいます。
欠勤控除の考え方は、ノーワークノーペイの原則に基づいています。従業員が何らかの理由で働くことができなかった場合、会社には賃金の支払い義務が発生しないことが原則となっており、これをノーワークノーペイの原則といいます。従業員が自己都合で働かなかった遅刻や欠勤のほか、育児介護などで働けなかった場合の休業にもこの原則は適用されます。
育児介護など従業員の責任ではない不可抗力の休業でも欠勤控除されるの?と意外に思われる方もいるでしょう。従業員が会社と約束した労働契約は、従業員が労働を提供することに対して会社が給料を支払う契約なので、育児や介護などの不可抗力の休業でも働かなかった時間分の給料を差し引くことは、会社側の正当な権利として認められているのです。
それでは、実際に欠勤した場合、いくら給料が引かれるのでしょうか?
欠勤に対して給料をいくら差し引くかは、通常、月給をもとにして計算しますが、手当の種類や勤務形態などによってさまざまなパターンがあり、会社によって採用している方法が異なります。
基本的には次のいずれか計算式を当てはめて計算します。
欠勤控除の額=(基本給+諸手当)/対象月の所定労働日数×欠勤した日数(遅刻早退の場合は時間数) 欠勤控除の額=(基本給+諸手当)/月平均所定労働日数×欠勤した日数(遅刻早退の場合は時間数)
「月平均所定労働日数」とは、1年間の総労働日数を12カ月で割って1か月の平均を出した日数です。
1のように欠勤した月の所定労働日数で計算すると、欠勤した月によって控除額が変動しますが、2のように月平均所定労働日数で計算すると、どの月に欠勤しても同じ金額になります。どちらの方法をとるかは企業の任意ですが、就業規則にその方法を明記しておく必要があります。