これは秋葉監督がほぼメンバーを固定して前半戦を戦い、結果を出していたことも理由として挙げられるだろう。しかしこの問題を解決するには、若手の育成に加え、即戦力となる選手の獲得が急務だ。一方で若手選手の積極的な起用や、昨季の宇野のブレークと同様に育成型期限付き移籍の活用も有効な手段だ。

マテウス・ブエノ 写真:Getty Images

新外国人選手の補強

柏戦では、相手チームの個人技やフィジカル、さらに戦術が清水を圧倒した。反面、チームのエースであるMF乾貴士の個人技は封じられた。清水は、攻撃の軸となり得るストライカーや、中盤を支配できるプレーメーカーの獲得が急務だろう。

清水の戦力強化において、外国人選手の補強は1つの鍵となる。過去、清水ではFWドウグラス(2018-2019)のような、シーズン途中加入の外国人選手がチームに大きな好影響を与えた前例がある。J1リーグでは、外国人選手の質が試合の勝敗を左右することが多い。現在のチームには、試合を決定付けるようなインパクトを持つ外国人選手が不足している。

ただし、外国人選手の補強には課題もある。まずは予算の問題だ。ビッグクラブほどの資金力を持たない清水は、高額な移籍金や年俸を支払うことは難しい。また、選手の適応力も重要なポイントだ。言語や文化の違い、Jリーグの独特な戦術やスピードに適応できない選手も少なくない。過去の成功例を参考にスカウティングを強化し、チームの戦術にフィットする選手を見極める必要がある。

例えば、現在清水に所属するMFマテウス・ブエノは、ブラジル時代(コリチーバ/2019-2021、グアラニ/2023-2025)は1部リーグの経験はなく、1部初挑戦はポルトガルのジル・ヴィセンテ(2021-2023)時代のみ。決して「大物助っ人」として期待されていたわけではなかったが、日本の水が合っていたようで、J1前半戦ではベストイレブン級の活躍ぶりだった。こうした「眼力」が今の清水にはある。