森山:はい、本当に死んじゃいます。採集に行った時、調子に乗ってたくさん容器に詰めたら全滅しちゃってたことが結構ありますね。

――へえ! てっきり都市伝説かと。何で死んじゃうんですか?

森山:臭いの物質って思っている以上に攻撃力が高いんですよね。だから、狭いところにギュッと集めちゃうと、自分達もダメージを食らってしまう。それぐらい刺激の強い物質でないと敵を追い払えないんだと思います。

――なるほど。人間にとっては臭いだけに思えますが、体に害はありますか?

森山:はい。目に入ったことがあるんですけど、1週間くらい目やにが出続けました。あと、プラスチックを溶かしちゃったりします。

――ええ! 恐るべしカメムシ。研究のためとはいえ大変ですね。

森山:他にはトコジラミの研究もしています。毎週自分の腕から血をあげて飼うこともありましたね。

――かなりショッキングですね。痒くならないんですか?

森山:刺されたときの反応は人によって違って、1回刺されると数週間から数カ月間、腫れとかかゆみが続く人もいますが、私は1時間で治っちゃうぐらい軽傷で済みます。だから同業者からはすげえ才能あるなって言われるんです(笑)。

――トコジラミって、最近の日本だと電車やホテルでよく見かけるようになったと話題になりましたが、研究者から見た対処法ってあるんですか?

森山:出先で自分の服に紛れて持ち込んでしまうのが心配な場合は、服などを帰ったらちゃんと洗濯乾燥機にかけることを心がけると良いと思います。しっかり熱で乾燥させることが重要なようです。

――洗濯乾燥で除去できるんですね。ホテルで心配な場合は、服やカバンをビニール袋に入れて縛ると良いって聞いたことあるんですが、これは効果ありますか?

森山:効果あると思います。基本的に彼らは人間が寝ているときに活動するので、心配なら寝る前に荷物をビニール袋に入れるといいかもしれません。あと、トコジラミは血を吸ってるんで、カサブタみたいな黒い糞を残すんですよ。だから、私はホテルでベッドの足元を見てこの黒い点々がついてないか一応チェックしたりします。