森山:私は呼吸に関して専門ではありませんが、どちらが優れているというのは難しいですね。昆虫は小さいからこの仕組みがいいだけで、身体が大きいと肺呼吸の方が効率がいいとも言われているようです。

――そう聞くとホント色々他の生物と比べて違いますよね。「昆虫は地球産ではなく宇宙からやって来たエイリアン」なんて言ってる人もいるけどわかる気がします。

森山:私はその考えは逆なんじゃないかと思いますね。実は地球上で最も繁栄している生物って昆虫だとも言えるんですよ。昆虫は大体100万種ぐらいいることが知られていて、これってもう全ての生物の中で圧倒的に多いんです。

身の回りを見渡しても、なかなか哺乳類を10種以上見つけることはできないと思うんですけど、昆虫だったら10種どころか100種とかそういうレベルで簡単に見つけることができる。

だから、昆虫が地球上で異色の生物というのは人間からそう見えるだけであって、昆虫からしてみると哺乳類の方が「たまに見る四足歩行の変な動物」ぐらいの感覚だと思います。

――昆虫視点、面白いですね! なんでも自分中心に考えてはいけませんね。

トコジラミはシラミじゃなくてカメムシの仲間

――森山さんがメインで研究されているものって何なんですか?

森山:結構いろんなものをやってまして、どれがメインっていうことはあんまりないんですけど、カメムシが多いですね。

――カメムシっていうと独特の臭いを思い浮かべちゃうんですが、そもそもなぜカメムシは臭いんですか?

森山:カメムシの胸のところに特別な器官が付いていて、そこから臭い物質をプシューッと出すんです。いじめられた時に出すので、何もしてない時はあまり臭くないですね。

チャバネアオカメムシの臭い物質を出す器官(臭腺)/Credit:産業技術総合研究所

――お尻かと思ってました。あと、瓶にカメムシをいっぱい詰めたら自分達の臭さで死ぬ、というのは本当ですか?