他にも大麻などに含まれるカンナビノイド成分は皮膚に存在するカンナビノイド受容体(CB1/CB2)に作用し、かゆみや痛み、炎症を抑えるとともに気分の不快感を和らげる効果が期待されています。
さらに『ストレスに適応する』働きを持つ植物成分(アダプトゲン)も神経化粧品に応用されています。
例えば、インド古来のハーブ「アシュワガンダ」は、ストレスホルモンであるコルチゾールの分泌を抑え、肌の老化を防ぐ働きが報告されています。
さらにシベリア由来のハーブ「ロディオラ(イワベンケイ)」は、肌のエンドルフィンを増やし、心の状態を整える可能性があります。
また古くから知られているラベンダーやカモミールなどの精油を皮膚に塗ることで、香りと触覚の両面からリラックス効果が得られ、不安やストレスを和らげるアロマセラピー的な効果が期待されています。
このように、本研究で提唱された神経化粧品(ニューロコスメティクス)では従来の美容に捕らわれていた概念を超えて、神経伝達物質・ホルモンから触覚・嗅覚刺激に至るまで多彩なメカニズムで皮膚‐脳軸に働きかけ、肌の状態と心理状態の双方に良い変化をもたらすことを目指しているのです。
単に肌に塗って肌を綺麗に見せるのではなく、肌に塗ることで脳と皮膚の関係改善を促進し、心を通して肌を綺麗にすることができたなら、それは単なる化粧を超えた存在になるでしょう。
神経化粧品の概念は成分だけにとどまらず、肌状態の根本に働きかけることを目指しています。
神経美容でのAIと微生物の活用

毎日同じスキンケアを続けているのに、ある日は肌が落ち着いている一方で、別の日は突然調子が悪くなる――そんな経験をしたことはないでしょうか。
この違いのカギは、実は肌の奥で起きている「心の状態」にあると指摘されています。
最新の神経美容では、こうした日々の心と肌の微妙な変化をAI(人工知能)の力で捉え、リアルタイムであなたの肌と心の状態に最適なケアを提供する取り組みが進められています。