だから、担当教授(准教授)の人脈によって、インタビュー調査が可能な施設をまずは探すことになる。
私の場合では、札幌市でも神戸市でも、事前に施設を訪問して、調査の趣旨を説明したうえで、調査協力をお願いしていた。了解していただければ、後日子育て支援センターに集まってくる子連れの母親10名程度にインタビュー調査をしたり、シルバー人材センターに登録している高齢者をセンターに訪問して、その活動内容を尋ね、問題点と生きがいを調べる。
このような活動を実習の軸としてきた。これもまた調査票印刷や宿泊による調査ではないので、授業としては大学からの予算は無いに等しい。
『調査実習報告書』を印刷・刊行する義務
【E】でも【F】でも調査が終われば、卒業までに必ずA4判10ページ程度のレポートを、締め切りまでに担当教授に提出する義務がある。それは担当教授がその添削を行うからである。
とても学生レポートをそのまま印刷物にはできない。添削を参考にして書き直した原稿を再度受け付けて、それを印刷物にして、社会調査協会に送る。そこで審査してもらわないと、社会調査士の資格認定が出来ないという規則だから、これは仕方がない。
だから、卒業時の3月までに参加者全員の『調査実習報告書』を印刷して刊行することになっている。さすがにこの印刷費は大学が予算化している。なぜなら、司法試験、医師や薬剤師の国家試験同様に、社会調査士の合格率も全国発表されるからである。合格率があまりに低いと、翌年の社会学部や社会学科の受験者数に影響が出る。
3年に一度が常態
私もまた北大で3年おき、神戸学院大学でも6年間の勤務で2回の実習を引き受けた。そのうえ、3年間の「科学研究費」を申請したら、3年目には『科学研究費報告書』を最終年度の3月末までに印刷製本して刊行する義務が長い間慣例化していたので、年度末の多忙さは相変わらずであった。