玉村:本部が代わりに考えちゃいけないということですね。

下野:まさに。細かく手取り足取り部下のためと思ってやってしまうと、部下は待つだけになり、「いつも上司が回答を出してくれる、その通りやればいいんだ」と、何も考えない人になってしまいます。これは成長とはほど遠い状態です。

玉村:上司が「こうやれ」と指示して、もしそれで失敗しても、現場は「言われた通りやったけどダメだったから自分のせいじゃない」となってしまうということですね。

下野:まさにその通りです。そして上司側は「なんでこんなに丁寧に教えてあげたのに、うちの部下は人のせいにするんだ、自分で考えないんだ」と負のスパイラルに陥ってしまいます。原因が自分自身の発言にあったにもかかわらずです。

玉村:なるほど、よく分かりました。本部と現場という意味では、売上目標以外にも、会社としての決まり(ルール)について、「なぜ本部はこんな決まりを作るんだろう、現場の現実に即してないと思うんだけど」といった不満も現場からは出てくると思いますが、これはいかがですか?

下野:まず、本部がルールを決めるのは、現場の運用がバラバラだと統率が取れない、集計に時間がかかるなどの弊害があるためです。皆で一緒に、必ずこの通りやってもらいたいものはルール化するという意図があります。

現場の立場から見たときに、「そのルールがあるとこういう問題が起こる」「こういうケースでそのルールはどう適用するのか」といった疑問点や問題点があれば、それをちゃんと「皆さんの権限として」上げてくださいとします。単に「嫌だ」「面倒くさい」ではなく、具体的な弊害の内容を挙げてくださいと。そうすると、本部は「確かにそういうパターンもあるね、じゃあルールをこう変えよう」と修正の意思決定ができます。

なので、役割が違うだけです。ルールを決める側とそれに従う側。ただ、従う中で問題があるなら、具体的な事実や根拠(数字)を提示してどんどん上げてくださいね、という違いです。