玉村:大きいところで言うと、ですね。無謬性の原則や、前任者の決定を覆しにくいといった側面もあったりするのでしょうか?

下野:私の主観ですが、官僚組織にいた時は、過去に決まったことというのは様々な業界団体とも調整した上で決まっているので、それを簡単に変えようとすると色々なステークホルダーから意見が出てきます。そういったところをちゃんと引き継ぎや共有がなされていないと、問題になりかねない気はします。

また、私のいた民間企業で自治体とやり取りする側になった時も感じましたが、国も自治体も、ポジションによっては2~3年で異動があります。そうすると、自分がいる間に何か大きく変えるというのはエネルギーがいりますし、業務量も間違いなく増えます。それを踏まえて断行する人もいれば、どちらかというと前例踏襲的な方を選ぶ人もいるというのはあるかもしれません。これはあくまで過去の経験からの私の主観です。

組織を変えるために:トップの覚悟とボトムアップの重要性

玉村:短い期間の中で自分が方向転換をするのは大変、ということですね。これは大きな組織だけでなく、おそらく10人くらいの組織でも、今これでやってるから変えるのは大変、と感じている方もいらっしゃると思います。そういう、本心では「このままではいけない」と思っているけれど、周りや組織がこれをよしとしているから変えられない、と思っている方々に対して、どうやったら変えていけるか、変えたいならどうするべきか、何かアドバイスはありますか?

下野:これは、一番は「組織のトップ」社長、経営者がどうしたいか、という覚悟、危機感がなければ絶対に変わりません。経営者が会社の責任を負っていて、うちをどうしていきたいか、そのために今のままじゃいけない、やり方を変える、という覚悟が必要です。

玉村:なるほど。その影響が及ぶ範囲のトップ、小さい会社なら社長さん、そうでなければ主幹部署の部長さんや課長さんといったトップが腹をくくるということですね。