玉村:本部と現場の役割の違いを認識した上で、どう関わるべきか、特に本部の人は現場に対してどう関わるべきなのか、という点をもう少し聞かせてください。
下野:はい。会社ごとに違いはありますが、先ほど言ったように役割が違うだけです。組織図の各ポジションの役割が決まっていて、そこに配属された人がその役割を果たす。例えばエリアマネージャーならこういうことを成し遂げる役割、施設責任者ならそれに向けてこういうことをやる役割、というようにです。どっちが偉いとかではなく、単に役割が違うだけです。
本部の人が現場に期待通りのことをやってもらうためには、まず皆さんの役割を明確にしますが、それ以前に、皆さんが「なぜ本部の言うことを聞かないといけないんだ」という状態になっていると、どんな指示をしてもやってくれないことが起こります。なので、まず立ち位置が違うこと、指示する側とされる側、管理する側とされる側であることを認識させる必要があります。
識学では具体的にどうやるかというと、これは口頭で言っても分からない人がいるので、ルールを絶対守らせることを徹底します。このルールを守っているか本部が確認し、守っていなければちゃんと指摘をする。これを徹底することで、現場の意識は「本部が言われたことは守らないといけないんだ」となってきます。そうすると色々な指示が通りやすくなるんです。
そして、マネージャーの役割は目標、言い換えれば部下の成長のための進捗管理です。本部の方は、現場のやり方に細かく口を出すのではなく、与えられた目標に対してどれだけ進捗しているか、達成できるかできないかというところをきちんと抑えることが大事です。
玉村:なるほど、本部が現場のやり方まで指示するのではなく、目標に対する進捗管理に焦点を当てるということですね。
下野:おっしゃる通りです。目標を達成してもらうことが重要であり、それはできなかったことができるようになるという部下の成長につながります。なぜこの管理をやるかというと、部下の皆さんの成長のためなんです。できなかったことが分からないとできるようにならないので、例えば週の目標があって、達成できなかったら、なぜできなかったのか、どう改善するのかを部下自身に考えさせます。自分で考えないと人は成長しないからです。