玉村:そこを徹底する規律ですね。私の経験だと、トップが旗を振って部下も「はい、やります」と言うけれど、実際にはやらない、という人がいると困りますよね。その場合、トップがマイクロマネジメントする羽目になったりするんでしょうか?

下野:まず、設定するのは先ほど言った「会社にいる以上、絶対守ってね」という能力に関係ない、難易度ゼロのものです。守れませんでした、という言い訳ができないようにするためです。それは守れないのではなく、守らないという意思の表れですよね、とします。そして、上司が指摘するというのは、あくまで自分の職務管下の部下に対して守らせる責任があるという整理です。社長は自分の直属の部下(役員)だけ、役員は自分の直属の部下(本部長)だけ、というように、それぞれの階層で自分の部下に対して守らせるんです。

玉村:なるほど。社長がやろうと言って、それをやらない役員がいるなら、それは社長が指摘するべきということですね

下野:そうです。ルールを守りなさい、と言い続ける。根負けしたら負けです。

玉村:自分の直属の部下には、とにかく口を酸っぱくして言う、という感じですね。分かりました。

組織変革の本質:ビジョンの共有と階層ごとの役割遂行

玉野:公務員という組織でのご経験を踏まえた上で、組織変革を成功させるための工夫はありますか?大きな組織ならではの、何か変えるための工夫、といっても、大きな組織でも小さな組織でも同じということでしょうか?

下野:おっしゃる通りです。変革の本質は組織の大小に関わらず同じです。

玉村:そうですよね。大変よく分かりました。

下野:ただ、組織が大きければ大きいほど、トップと現場の距離はめちゃくちゃ遠くなります。あくまで会社全体としては経営理念や目的があって、ここを目指し続けている。ここに到達するためには、まずこのことを皆さん守ってないと、というのが大前提です。ここをちゃんと発信するというのは大事ですね。