逆に言えば、ゆるやかな不満を放置して「満足度が最大値のおよそ65%」水準に突入してしまうと、関係修復が非常に困難になることを今回のパターンは示唆しています。

もちろん、このパターンが当てはまる度合いはカップルごとに異なります。

例えば「満足度が最大値のおよそ65%まで低下すると別れを選ぶ」という数値も統計的な値にすぎず、あるカップルにとってはもっと高い満足度でも別れを選ぶかもしれませんし、逆に相当低くなっても関係を維持するケースもあるでしょう。

本研究はあくまで平均的な傾向を示したものであり、「我が家の場合の65%は何だろう」と機械的に考える必要はありません。

ただ、「多少の満足度低下なら普通だけど、大幅な低下には要注意」というメッセージとして受け止めることは有意義でしょう。

実際、「関係満足度のどれくらいの低下なら健全な範囲で、どれくらい低下すると決定的にまずいのか」を科学的に数量化した意義は大きいと指摘する声もあります。

また、今回分析に使われたデータはすべて欧米諸国のものであり、文化や社会的背景が異なる地域で同じパターンが当てはまるかは注意が必要です。

結婚や交際に対する価値観、別れに踏み切るハードルは文化によって違う可能性があるからです。

またデータは年1回程度の自己報告に基づくため、もう少しきめ細かな心情の揺れを捉えられていないかもしれません。

今後は月次の詳細な追跡や、異文化圏での研究によって、この「終わりのパターン」が普遍的なものかを確かめる必要があるでしょう。

恋愛の「終わりパターン」が明らかになったことで、一見ロマンチックとは程遠い冷静なデータが、私たちの心の動きを映し出していることに気付かされます。

愛情という主観的なものにも統計的な傾向が潜んでいるとは驚きですが、だからこそそのサインを見逃さず、早めに対処することが可能になるかもしれません。

関係に違和感を覚えたとき、それは単なる気のせいではなく「プレ終末期」の警告なのかもしれないのです。