急激な満足度低下(ターミナル期)に差し掛かるとき、カップルの間では何が起きているのでしょうか。

その時期には、口論が増えたり、心の距離が一気に開いたり、関係修復の努力がもはや実を結ばなくなったりしているのかもしれません。

研究者は、終盤の満足度急落期には『否定的な会話の繰り返し、相手に対する敵意、争いが増えること』が原因となっている可能性を指摘しています。

言い換えれば、関係の中で見えない決壊が起こり、「もうダメかもしれない」という感覚が現実味を帯びてくる段階と言えそうです。

また、別れを切り出す側と切り出される側のタイムラグにも注目すべきです。

経験的にも、「振る側」は前々から気持ちが冷めていて「振られる側」は突然別れを告げられて驚く、といった話はよく聞かれます。

今回の結果はまさにそれを裏付けました。

イニシエーター(振る側)は早い段階から心が離れ始め、レシーバー(振られる側)は直前まで深刻さに気づきにくい傾向があるのです。

レシーバーの満足度が最後に急落するのは、「何かおかしい」とようやく気づいた時には関係修復が難しい段階に至っていることを示しているのかもしれません。

この心のタイムラグは、当事者同士の認識のズレとしてしばしば悲劇的です。

片方にとっては「もうとっくに終わっていた関係」でも、もう片方にとっては「突然崩れ落ちた世界」というギャップが生じるからです。

では、この知見は私たちに何をもたらすでしょうか。

まず、「終わりのサイン」にもっと早く気づくことの重要性が挙げられます。

満足度がゆるやかとはいえ下降し続けているなら、それは将来の急落(破局)への予兆かもしれません。

もしお互いがその兆候に気づき、プレ終末期の段階で問題解決に取り組めれば、関係を修復したり軌道修正したりするチャンスがあるでしょう。

研究者たちも、このプレ終末期にタイムリーな介入(例えばカップルカウンセリングや真剣な話し合い)を行えば、破局を防げる可能性があると示唆しています。