すなわち、高学歴男性は結婚しやすいが、高学歴女性は結婚しにくい社会が誕生して、現在までこの傾向が続いているように思われる。

女性未婚率の要因分析

それから15年後の田辺と鈴木の「都道府県別の女性未婚率の要因分析」によれば、人口・世帯分野では検証した説明変数10種のうち、「親同居」「大院卒」の2種、生活分野では説明変数12種のうち、「交際」「育児休業」「介護休業」の3種、経済分野では25種の説明変数のうち、「所得」「持家」「製造業」「医療福祉業」の4種が要因となった(田辺・鈴木、2020)。

要するにいろいろな要因が未婚率を押し上げてはいるのだが、計量分析データで注目されるのは,「所得」と「大院卒」の感度符号が正で,両者の影響度の合計が31.1%に達し,高学歴高所得女性の増加が未婚率の上昇に大きく寄与するという結果である(同上)。

学歴の長さは不可逆的

だからと言って、男女ともに大学・大学院志向が強い現状では、それを人為的に止めることは不可能である。それは文字通り「人権問題」になる。

しかし、かなりな大学では量的にみても定員割れが進行して、同時に質的には小学校の算数での分数や少数の計算ができない、中学校の英語動詞の変化を覚えていない、47都道府県を正確に言えない大学生が在学していることも事実である。しかもそれらの大学にも年間約3000億円の補助金が文科省から支給されている。

入試基準や大学補助金を見直せるか

だから、入試基準を強化したり、補助金を見直せば、大学受験生が確実に減少することは明瞭である。そうすると、高学歴化の動きは止まるであろう。

あとは与野党がどこまで高学歴と少子化との関連を意識するか、政策として取り上げるかにかかっている。

要因が多分野にまたがっている

いずれにしても未婚率の増大は、「結婚からの逃走」であり、「家族からの逃走」でもあり、社会システムの根幹を大きく揺さぶる社会現象である注2)。この結果から、要因が多分野にまたがっていることがわかる。